事業の実施について

1.経緯

(1)APEC VIETNAM 2017-ダナン投資促進セミナーin 東京の開催
2017年2月、一般社団法人日本ベトナム経済フォーラム(以下、JVEF)は、ダナン市人民委員会委員長の要請を受け、「ダナン市への日本企業の投資促進と企業誘致に向けての協力」に関する覚書を締結し、日越交流推進の観点から日本企業の投資促進と企業誘致に向けての協力を行うことと致しました。これを踏まえ、同年9月、外務省、経済産業省、JETRO、JICA、日本経済団体連合会、日本・東京商工会議所等の後援を得て、APEC VIETNAM 2017-ダナン投資促進セミナーin 東京(以下、セミナー)を経団連ホールにて開催致しました。
セミナーでは、ダナン進出に関心を有する多数の企業等関係者に参加いただき、ダナンが進める基幹産業育成とインフラ整備推進に向けて、それらを支える産業の誘致・育成と技術者及び専門分野の人材の育成・確保が企業の投資促進のためには最重要課題であることを確認致しました。JVEFは、セミナー等での企業等の提案と意見を踏まえ、ダナン・プロジェクトとして、本邦企業のダナン及びその周辺地域における投資促進と企業進出についてダナン市と共に体系的(日越企業連携(M&A)、リスク管理、実務的課題解決、人材育成、生活環境整備等)に整理し、共通の理解促進と課題の解決に向けて努力することとしております。その中で、本邦企業の投資促進に向けて、若手人材の確保・育成が最も重要な課題であることが確認されました。
(2)本邦企業の海外展開における強い専門人材ニーズとベトナムの要請
わが国の中堅・中小企業においては、基幹産業の海外展開の加速、産業構造の変化(生産・供給構造のグローバル化)、熟練技術者・専門家の高齢化等により、近い将来の事業を、急速に発展しているベトナムをはじめとするアセアン諸国他に展開する動きや事業承継そのものの基盤を若い担い手が容易に獲得できる海外に展開させることにより事業の存続を図ろうとする動きが大きくなっております。
わが国政府は、海外の成長市場を取り込む政策として「地域の中堅・中小企業が、外国企業の経営資源を活用して技術力強化、販売拡大等の成長力強化を実現できるよう、出資・提携業務を含めた外国企業との提携を促進する(平成29年5月20日対日直接投資推進会議決定抜粋)」とし、中堅・中小企業の海外展開や経営資源の融合等に向けて出資事業等を推進されています(中小企業基盤整備機構)。
ものつくり分野を中心とした中堅・中小企業の海外展開に当たっては、企業経営面でのクロスボーダー連携とともに、それを持続的に支える若手技術者・職人・専門家の育成が不可欠ですが、本邦企業では高齢化の進展と共に若手人材の確保が難しくなり、一方、高い成長を実現しているアセアン諸国においては、若手人材は豊富ではあるものの、資金と経験の不足もあってその育成が追い付かず、そのため優秀な担い手の不足が甚だしく、諸外国との技術者、専門家等の確保競争がし烈になっています。
さらに、ベトナム国では、製造業基盤としての幅広いすそ野産業の誘致や育成が急務となっており、この意味からも、製造及び関連サービス分野での技術者・職人・専門家の育成が喫緊の課題となっております。
(3)外国人技能実習制度の改正(実習期間:技能実習1号1年、技能実習2号2年、技能実習3号2年の合計5年)
外国人技能実習制度は、わが国の企業との雇用関係の下で、より実践的な技能・技術・知識を修得することにより、これらの技能等の開発途上国等への移転を図り、当該開発途上国等の経済発展を担う「人づくり」に寄与するために設けられています。このため、「外国人の技能実習の適正な実施及び技能実習生の保護に関する法律(技能実習法)」では、外国人の技能実習の適正な実施及び技能実習生の保護を図るため、技能実習に関し、基本理念を定め、国等の責務を明らかにするとともに、技能実習計画の認定及び監理団体の許可の制度を設け、これらに関する事務を行う外国人技能実習機構を設ける等の措置が講じられており、2017年末、いくつかの課題に対応し、同法の大幅な強化・改正が行われました(改正技能実習法の施行)。
本制度は、ベトナム及び諸外国で活動する技術者、職人及び専門家の確保・育成が求められている日越両国の企業等にとって極めて有効です。

2.外国人技能実習制度監理団体事業許可、同制度一般監理事業許可の取得等について

2018年2月、JVEFは、上記経緯とベトナム国の要請及び本邦企業のベトナムにおけるニーズ等を踏まえ、外国人技能実習事業としてベトナム青年技能実習事業を開始することを機関決定致しました。
ベトナム国で長年実績を有する技能実習生送出機関エスハイ社と連携し、ベトナムの若者に実践的に技能・技術・知識を修得させるという同制度の主旨を完遂しつつ、その仕組みを発展させ、技能実習生への入口(スタート台)を強化し、実習終了以降の受け皿(出口)としての在外の本邦企業、専門(高等)教育機関、職業訓練組織、ベトナム企業との連携等を通じて高度な技術者、職人及び専門家の育成を図り、本邦大手企業、中堅・中小企業のダナンをはじめとするベトナム各地域への展開や事業の継続・継承等に資するとともに、日越両国経済・産業・社会の持続的発展に貢献することとしました。
このため、2018年2月末、政府当局(法務省並びに厚生労働省)に対し、改正技能実習法に基づく外国人技能実習制度の監理団体の許可申請を行い、同年7月許可をいただきました。
同年3月には、政府当局(内閣府公益認定等委員会)に対し、公益法人としての認定をいただくべく手続きを行っておりましたが、事業実施に伴う大幅な組織再編と事業実施体制の変更等を控えていたことから、当局ご審査手続きの重複を避けるため、当局のご了承を得たうえで同申請手続きを一旦取り下げております。

2022年3月、JVEFは、政府当局(法務省並びに厚生労働省)より一般監理事業許可を取得いたしました。

 

3. 特定技能制度登録支援機関事業

令和元年(2019年)4月から、我が国の人手不足対応として一定の専門性・技能を有する即戦力となる外国人を受け入れていく新たな在留資格「特定技能」(特定技能制度)が発足しました。同制度では、技能実習2号(あるいは同3号)の修了者は、特定技能業務と技能実習における職種・業務と関連ある場合には日本語レベルや業所管省が定める技能水準の試験などが免除され「特定技能1号」としての更なる5年間の就労資格が取得できます。本制度は、技能実習制度との接続において、職種・業種の接続性やその範囲等に少なくない課題を抱えるものの、日越両国で活躍を期待できる実践的な監理・技術者及び職人層の日本的な継続育成に向けての大きな仕組みであると考えております。
2019年5月末、JVEFは、同制度における登録支援機関として登録されました。同制度では、特定技能就労者を受け入れる企業等(受入れ機関、特定技能所属機関といいます)は、(1号)特定技能外国人支援計画を策定し当局(出入国在留管理庁)に在留資格認定許可を申請する必要があります。その際、支援計画の全部の実施を登録支援機関に委託する場合は「支援する体制がある」とみなされます(一部の委託も可能です)。

事業の理念とコンセプト

5つの理念

  • 国際協力:業務に従事しながら技能、技術又は知識の移転(技能実習)
  • 海外展開:ベトナム(周辺)での事業展開に向けて関連・連携企業等の管理・技術者及び職人層の育成
  • 企業活力:日越両国企業等で就労できる管理・技術者及び職人層の育成
  • 若手育成:(中長期視野での)熟練技術者・職人及び職人層の育成
  • 事業承継:資質と意欲ある若者による日本やベトナムでの(中小企業の)事業承継及び日越企業連携の推進

コンセプト

  日越両国の経済・産業・社会を支える管理・技術者及び職人層の日本流育成

JVEFのベトナム青年技能実習生及び特定技能就労者受入れの考え方

1.越国等で活動できる管理・技術者、職人等育成ニーズ(ベトナムを中心とする事業展開ニーズ)
2.国内人材ニーズ⇒熟練技術者、職人等(それぞれ候補を含む)の専門的人材ニーズ(国内ニーズ)
3.中小企業等の事業承継等ニーズ:国内の後継を育て発展させる、越国での展開も併せて発展させる